私の一句

小岩 秀子

花ダリアいつも客ある母の縁   秀子

私は仙台の下町、職人の町に育ちました。染物屋、鍛冶屋、畳屋、造酒屋等々の中、父はサラリーマンでした。母は無類の花好きで、猫の額ほどの庭に所狭しと季節の花を咲かせていました。家が表通りに面していたので、ご近所さんの誰かしら我が家の縁側に腰を掛け一服される笑顔が増えているのです。そして漬物や煮物ご持参のご近所さんもおられ、今で云う「カフェ」さながら、といったところでしょうか。父も仕事から帰ると、花に水遣りをし、ひと日の七人家族の夕飯となるのです。そんな中の母も九十八才で彼の世へ旅立ってしまいました。