俳句の風景

宇 咲 冬 男

薄氷(うすらひ)は水の濁りをまとはざる

春の虹妻いつよりか耳輪せず

春の虹育ちきれぬ詞胸に棲む

啓蟄や朝はつめたき文机

シクラメン夜は置かるる首飾り

梨の花ひと佇ちゐしに気のつかず

風塵やまざるともなき松の花

(句集『乾坤』より)