私の一句

江森 京香

風の盆指の先まで燃え尽きて    京香


今年も「風の盆」がやって来る。九月一日から三日にかけて「おわら踊り」が坂の多い町中を練り歩く。二十数年前にバスツアーで初めて観る風の盆は雨だった。ザーザ降りで歩くことも出来ず小学校の体育館にて踊り舞台の中継を観るはめになた。二度目は覚悟を決め、富山まで車で行くことにした。観光客のいない夜更けまで八尾の町に浸っていたかった。理由は高橋治著の「風の盆恋歌」を読んでしまったからである。死の予感にふるえつつ忍び逢う中年の男女、年に三日間だけの逢瀬に現実離れしていても、中年の純愛とすすり泣くような胡弓にあわせ、女踊りはしなやかに、男踊りは勇壮で風情を深くし、月の傾くのも忘れさせる。そんな「風の盆」に七十才になった今、又行ってみたいと思う。二度目に行った高速道の帰り道、スピード違反に引っ掛ったことも思い出のひとつである。