私の一句

矢倉 澄子

 山椒魚あの世この世を呑み込みし  澄子


平成十四年九月、あしたの会の「湖東三山と琵琶湖周 遊」の吟行に参加し、近江路に芭蕉ゆかりの名所旧跡を巡りました。その折、数々の歴史を背負った山間で、今まで見たことのない大山椒魚に出合いました。

すべてを洗い流し、静止、微動だにしない歴史の重さと共に、刻が止まったかのように感じましたが反面、 ムーッとして、不機嫌そうにしている姿は、ユニークで 滑稽でもありました。

後の句会で、冬男先生の特選をいただいたことも、懐かしい思い出となっています。山椒の体臭を持つことが その名の謂れのようですが、水族館で山椒魚を見つけると、あの日の山間の景が眼裏に広がって来ます。

狭庭もふくらみ、桜の季節を迎えることが出来ました。 毎号掲載される先師宇咲冬男の「俳句の風景」は私たち の心のページのように思われます。会員として支えられ過ぎた歳月の重みと多くの言葉をかみしめ、自分を失うことなく勉強して行きたいと思います。