私の一句

小泉富美子

緑蒼碧孤りもよろし朝の道

今の住まいに移って十五年。毎日とはいかないが朝の飛鳥山公園を散歩する。自分に負荷をかけるためあえて六七段の階段を必死に上る。すると、ご褒美のように木々の緑に包まれ、なんと幸せと思う。

この句( 同じ号の句に「万緑に残る生命を洗いたり」とあるが、この万緑では濃淡の緑を言い表せないと悩んだ。

あかあかやあかあかあかや 明恵上人の歌が頭に浮かんだ。そこで、緑蒼碧あおあおあおとし、季語に仕立ててみた。

独善的で、俳句の専門家には一笑に付されてしまいそうだが、当人は満足している。