私の一句

小泉富美子

春興やかくし庖丁かくし味

この句は、角川書店が創立六〇周年にあたり活字を主体とする本格歳時記の決定版として「角川俳句大歳時記」全五巻を刊行された時の「春」の季の中に、私の一句を載せて頂きました。「あした」季寄から抽出されたとの事です。自分の句が大手の出版物に活字で載るのは初めてですので、おどろきと、よろこびでした。因みに「かくし」の語に似るかも知れませんが、

秋夕焼「無縁」「団子」の坂の町  綾子

この句の中に、無縁坂( 雁)団子坂( 観潮楼、現在記念館)鴎外を忍ばせた一句です。俳句、連句と導いて下さいました今は亡き冬男先生に、改めて感謝申し上げます。