私の一句

川上 綾子

 枯菊のくくられてなお陽を恋うる   綾子


この句は、秋田の五能線に乗ったときの窓の外に 見えた、畑の隅にくくられて居る枯菊を見て出来た 句です。枯れた中に小さい花がふたつみっつ見えていました。初冬の陽ざしのおだやかな日でした。女の車掌さんの訛りのある語り口でお知らせが流れて居りました。くくられた枯菊は、私はまだここに生 きてるよと、お陽さまに祈っているかのように。

ローカル線の旅の一風景です。思えば大正大学での冬男先生の俳句講座を受けてから十年目の作句です。俳句の何やらもわからず、五七五というリズムにのせて、がむしゃらに作って来ました。それが曲 がりなりにも句として成立して来たことに、少しう れしく思えるようになって来た頃でした。この句は 「あした」集の二月号の投句でしたが、のちに俳句新 聞の紙上にあと二句を含めて計三句掲載されました。