俳句の風景

             宇 咲 冬 男

冬初め野にひと筋の煙立ち

空へ意志広げ通すや冬欅

目貼すやもの想う時深めんと

漱石忌生涯髭はたくわえず

冬服の重さは冬の重さかな

名残空燃えきれぬ雲漂うて

除夜の鐘六十四年父 逝きし歳越すの得度数珠

(句集『塵劫』より)