俳句の風景

            宇 咲 冬 男

夏行 ⑩

ニューデリーからジャイプールへ

熱帯夜句帳よぢれてゐたりけり

アグラ城

人はまぼろし炎ゆ宮殿の石畳

タジ・マハール

石廟や夏日にきかぬ目の絞り

青春の還るブーゲンビリア摘み

ネパール(カトマンズからポカラへ)三句

日がやさし丘も稲穂の農の国

海抜の高み向日葵(ひまはり)真日統べる

岳国(やまぐに)の湖に張りなし雨期只中

(句集『乾坤』より)