俳句の風景

            宇 咲 冬 男

夏 行⑧

大野寺

蔦紅葉して天女めく磨崖仏

秋冷ゆる薬師如来の薬壺

禅林を出てサルビアの赤の濃し

上野城 二句

色変へぬ松城壁の白極め

秋高し大城壁の石の反り

翁ゆかりのいづこも育ちゐし芭蕉

武家町をぬけて草の香稲の香や

(句集『乾坤』より)