俳句の風景

             宇 咲 冬 男

夏 行
―昭和五十一年七月十八日~八月一日・炎暑の印度仏聖地巡礼す―

巡礼へこころもろとも跣足なり

大地行く輪袈裟の汗が塩となり

サルナート〈鹿野苑は釈尊が初めて仏教を説いた聖地〉
出離から逃げし身灼くる仏聖地

ブッダガヤ〈釈尊成道の地〉
うつし身や坐して聖地の草いきれ

夕焼す彼岸が河を横たふる

ナーランダ〈世界最古の大学といわれる仏教大学院の跡の発掘進む・三蔵法師も学んだ
風死せり千の僧房掘り出され

乾坤の一滴となり裸なり

(句集『乾坤』より)