俳句の風景

            宇 咲 冬 男

杏の里

根元まで花や杏の一壮樹

白豪寺

松蟬や堂裏までは誰も来ず

母の故郷・川越市を訪ふ 三句

緑立つ残され白き蔵造り

春望や老い母に吾子連れ添ふて

遅き日や迷路つづきの城下町

犬山城二句

行く春や木曽をこだまの天守閣

城出でてしんじつ白き花みづき

(句集『乾坤』より)