俳句の風景

             宇 咲 冬 男

秋爽の一日の灯を消し惜しむ

白日の雲渇きゐし獺祭忌

黒ぶだう身うちを欠きしたなごころ

曼珠沙華恋の墓標のひとつふゆ

接心や四智円明の月を待ち

結跏趺坐解き放心に虫しぐれ

晴るる秋なほ見えぬもの彼方にあり

(句集『乾坤』より)