俳句の風景

             宇 咲 冬 男

翡翠や水の越し得ぬ巌ひとつ

メーデーの日はふかぶかと田に降れる

走り梅雨柱が真夜に目を覚ます

麦秋の気だるさに舟繋がるる

山梔子匂ふ夜の深みに突き当たる

一瀑の天に還らむひたすらに

還らざる刻を滴りくり返す

(句集『乾坤』より)