俳句の風景

             宇 咲 冬 男

恋の猫本堂の闇踏みはずす

燃えながら野火は曳きゆく野火の傷

散る刹那すでに一樹の花の屑

花果てて身にぬけがらの風流る

蛤が鳴く人間の棲む闇に

残る鴨浮きて互ひに遠き距離

空々色々即是空春の虹

(句集『乾坤』より)