俳句の風景

            宇 咲 冬 男

法隆寺

碧落や木枯の雪塔の上(へ)に

室生寺 六句

冬隣飛雲の形(なり)の幾かはり

秋果ての夢殿の厨子閉ざされて

法輪寺

深秋や塔の風鐸鳴りやまず

法起寺や塔をしづめるしぐれ雲

塔近み塔遠見して刈田道

中宮寺

消しがての秋思おろかや微笑仏

(句集『乾坤』より)