俳句の風景

            宇 咲 冬 男

夏 行⑧

デリー郊外で三句

日盛りを映ゆ緋づくしの婚衣裳

夜も灼くる国花嫁に火を焚ける

炎天を来るインデイの聖者貌

ニューデリーからジャイプールへ四句

遊牧の民棒立ちに日雷

ひとの頭に乗り水瓶の位置涼し

木も家もなき風景に冷し牛

ターバンや夏が絵本を抜け出して

(句集『乾坤』より)