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[12056] 兼題「寒の月」 投稿者:宗匠 投稿日:2025/01/03(Fri) 10:17
新たな兼題を「寒の月」とします。今年は明後日の1月5日が二十四節気の「小寒」であり寒に入ります。その小寒以降に見る月が「寒の月」であり、傍題には「寒月」「寒月光」「寒満月」「寒三日月」「凍月」があります。寒入り後に見る冴え冴えとした月を見ての一句を捻ってください。今回の締切は1月24日頃とします。お一人3句までのルールをお守りいただき沢山の投句をよろしくお願いいたします。

[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:右陣平 投稿日:2025/01/05(Sun) 11:24
彼は誰の湖面に映る寒の月
寒月の下に群れなす摩天楼
寒月が綺麗ですねと指を差し
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:むさし 投稿日:2025/01/06(Mon) 20:44
踏切に待たされてをり寒の月

寒の月人の集まる事故現場

踏切へ魔が差す思ひ寒三日月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:コタロー 投稿日:2025/01/07(Tue) 11:31
傷心に寒三日月の突き刺さり
寒の月北の大地を眠らせて
寒の月殺陣師の剣筋照しけり
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:いわし雲 投稿日:2025/01/07(Tue) 19:20
寒月や一両電車の音高く
砂糖まで固まつてゆく寒の月
寒の月斜め読みする置き手紙
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:凡愚痴歌 投稿日:2025/01/10(Fri) 09:17
寒月のシーツの青さきはまれり
寒月の胸元うすき女なり
去り行くは背のギターや寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:瞳人 投稿日:2025/01/10(Fri) 16:04
頬痩けし眸かうかう寒の月
老兵の眉間深めて寒の月   
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:みさ 投稿日:2025/01/10(Fri) 19:58
燦然と寒の月冴ゆ九段坂
寒月に濡るる商家の鬼瓦
点灯の消えし棚田へ寒月光
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:柚子 投稿日:2025/01/10(Fri) 20:34
寒の月瀬戸の小さき波光り
寒満月吾の心を見透かされ
一年の目標三日や寒三日月

秀逸を有り難うございました。温かいお言葉も励みになります。
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者: 投稿日:2025/01/11(Sat) 06:53
寒月や日ごろの憂さを明日晴らす
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者: 投稿日:2025/01/11(Sat) 08:17
老婆のゆるり見上げる寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:東馬 投稿日:2025/01/11(Sat) 09:19
歩こうかバスに乗ろうか寒の月
寒月や迷ひなき道一筋に
まっすぐに物言ふ気骨寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:郁文 投稿日:2025/01/11(Sat) 15:51
寒月や夜業帰りの靴の音
今は妻愛ささやけし冬の月
路地の隅猫こごみけり寒の月


[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:ひろ志 投稿日:2025/01/11(Sat) 23:39
雨雲の切れて山の端寒の月
葬列を黙つて送る寒の月
凍月や越の地酒を独り酌む
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者: 投稿日:2025/01/12(Sun) 08:01
再発の目に焼き付ける寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:ゆき 投稿日:2025/01/12(Sun) 11:43
No12072の訂正です。

松が枝の奥へ隈無く寒月光
寒月や松が枝影を深うして
寒月やシースルーなる昇降機
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:俳徊人 投稿日:2025/01/12(Sun) 20:31
寒月や止まりしままの観覧車
見るほどに寒三日月の鋭利かな
寝鎮もる京の町屋や寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:しーしー 投稿日:2025/01/13(Mon) 13:17
佐渡金山寒三日月が割り開く
稽古あと地平に近く寒の月
水平線寒三日月がいま触れる
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:荒一葉 投稿日:2025/01/15(Wed) 09:02
沈黙はときに雄弁寒の月
寒月やいまだ既読のなきLINE
隣りからいつもの寝息寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:タケオ 投稿日:2025/01/15(Wed) 12:39
寒月に豆煮る音の匂ひけり
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:タケオ 投稿日:2025/01/16(Thu) 10:54
寒月や爆音西へひかりゆく

[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:川口あおい 投稿日:2025/01/16(Thu) 23:08
寒の月見るとこころが冴え渡る
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者: 光雲2 投稿日:2025/01/17(Fri) 13:11
大欅烟る梢や寒の月
モノクロの戦慄覚ゆ寒の月
寒三日月闇夜の宙の刃かな
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:みぃすてぃ 投稿日:2025/01/17(Fri) 20:31
寒の月照らす名画座旧き街
凍月の映る窓辺や遺稿集
凍月や黒豹惑う暗き森
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:花雨 投稿日:2025/01/18(Sat) 10:11
もう君はこの世にいない寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:ふみ 投稿日:2025/01/19(Sun) 14:59
午前零時寒満月の美しき
寒の月星のきらめき遠ざけり
砂浜の松の撓みや寒月光
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:タケオ 投稿日:2025/01/19(Sun) 17:45
寒月やにわかに友の訃の知らせ

突然の友の訃報
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:川端 投稿日:2025/01/19(Sun) 20:19
踊り子と行きし学帽寒月下
寒月下終の逢瀬に波寄せる
寒月下砂丘に一輪ハマグルマ
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:山流 投稿日:2025/01/20(Mon) 16:37
凍月の魚河岸市場競りの声
富士山と湖面に揺れる寒の月
天災の跡を哀れむ寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:悠太 投稿日:2025/01/20(Mon) 17:44
凍月の導く小径在りにけり
推敲を重ぬる机寒の月
産土や山の端隠す寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:穣一 投稿日:2025/01/21(Tue) 12:14
寒月下釣舩の蛸壺に居り

便り無き友はいかにと寒の月

手の届く距離に冴へたる寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:いつせ 投稿日:2025/01/21(Tue) 12:55
窯変の静かに進む寒の月
海鳴りは底より響き寒の月

 よろしくお願いします。
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:リタイア 投稿日:2025/01/21(Tue) 17:00
早父母の十三回忌寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:6105 投稿日:2025/01/21(Tue) 18:05
痰切れぬ今宵の月は寒の月
寒月の観音堂の鐘閑か
躙り口屋根の隙間に寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:リタイア 投稿日:2025/01/21(Tue) 18:36
中部からホノルル便に寒の月
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:せつこ 投稿日:2025/01/21(Tue) 19:32
寒月光ポストの底の便りかな
寒月や納屋の闇闇石匂う
寒の月吾子を待ちたる茶碗蒸し
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者: 投稿日:2025/01/21(Tue) 21:11
寒月光すらすら解ける幾何の問ひ

ひたむきに被災地照らす寒の月

凍月やきらりと失せしコンタクト
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:かく たまき 投稿日:2025/01/22(Wed) 15:32
寒月や抱っこひもから犬の足
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:風神 投稿日:2025/01/22(Wed) 16:20
湯上りの火照り冷ますや寒の月
寒月や古都の町家の仄明り
寒月や阿蘇の寝釈迦に手を合はす
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:桉音 投稿日:2025/01/23(Thu) 08:09
寒月や光(かげ)をまさぐる犬の鼻

眸(め)の醒めてゐる鬼瓦寒の月

寒月や泣く子の顔がよく見える
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:政枝 投稿日:2025/01/23(Thu) 16:20
寒月や菓子屋横町眠りたる
シーソーは傾いたまま寒の月
寒月夜役員決めの着信音
宜しくお願いします。
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:さかえ 投稿日:2025/01/24(Fri) 07:53
頻尿に悩む齢や寒の月
人災の果て無き戦寒の月
九十の命味わう去年今年
[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:さかえ 投稿日:2025/01/24(Fri) 07:57
頻尿に悩む齢や寒の月
人災の果て無き戦寒の月
寒の月後悔多き老介護

[12056へのレス] Re: 兼題「寒の月」 投稿者:さかえ 投稿日:2025/01/24(Fri) 08:02
すみませんNo.12102は取り消しをお願いします。

[12055] 兼題「年の夜」の講評 投稿者:宗匠 投稿日:2025/01/03(Fri) 10:01
兼題「年の夜」に90句の投稿をいただきました。沢山のご投稿を有難うございました。今回は年の夜と似ているものの異なる「除夜」で詠んだ句が散見されましたが、兼題とは異なる意味の季語ですのでいただきませんでした。そして今回も残念ながら入選以上の句が少なかったように思います。なお今回の締切を12月31日と予告し、締切のメッセージを当日の午後に出しましたが、その後3人の方々から投句がありました。本来は締切宣言後の投句は選評の対象外とさせていただいておりましたが、今回は12月31日中の投稿であったことから、対象に含めさせていただきました。では宗匠選と講評をさせていただきます。

(予選)
1.年の夜や夫婦で交わす有難う   郁文 →「年の夜」以外の季語でも言えるフレーズであり季語が動きます。
2.年の夜の良きこと10を数へけり  柚子 →上五は「や」で切るべき。良きことは年間のことだからです。
3.年の夜のそろひて欠伸うつりけり 柚子 →季語が動きます。
4.年一夜父はこりずに午前様    右陣平→イマイチです。
5.一人ゐて形而上たる年の夜    右陣平→もう一歩です。
6.値引き札待って買ひもの年の晩  みぃすてぃ→これももう一歩。
7.年の夜ちくわを芯に昆布を巻く  リタイア→樹々が動きます。
8.駄句いとし生くる印ぞ年の夜   瞳人 →三段切れです。「駄句もまた生くる印ぞ年の夜」 
9.赤い靴捨てるモンロー浮かむ除夜 瞳人 →「除夜」は兼題とは別の季語です。
10.歳時記を枕の横に年の夜     コタロー→まずまずです。
11.走馬灯見るように過ぎ年の夜   花雨 →平板です。
12.除夜の星僧仰け反りて鐘撞きぬ  ゆき →「除夜」は別の季語です。
13.大歳やちさく暮らせる共白髪   ゆき →「大歳」は大晦日を指し年の夜とは異なる季語です。
14.年の夜や千の皿鳴る繁華街    東馬 →まずますです。
15.冷凍のおせち届きし年一夜    ひろ志→「それでどうした?」と言われかねない句かと思います。
16.年の夜又過ごしてる病院や    川口あおい→もう一歩です。
17.餌台にパンと玄米を置き年夜   しーしー→季語が動きます。
18.一族を寄せる立場の年一夜    しーしー→「年一夜明日は族(うから)を迎うる身」
19.年の夜生家に送信帰らぬと    しーしー→「帰れぬとメールを出せり年の夜」
20.つつがなく年の夜迎えそれで良し リタイア→平板です。
21.新年の準備あたふた年の夜    リタイア→「新年」は新年の季語であり季違いです。
22.年の夜は猪口と徳利に御挨拶   山流 →季語が動きます。
23.灯明を灯す鎮守へ年の夜     山流 →季語がいささか動きます。
24.胸底に除夜の汽笛の余韻なほ   みさ →「除夜」は別の季語です。
25.年の夜や王子は狐一色に     みさ →「狐」は冬の季語で季重ねです。
26.亡き師との思ひ出の鐘待てる除夜 みさ →「除夜」は別の季語です。
27.菩提寺に並び鐘撞く年の夜    俳徊人→もっと踏み込むべきです。
28.年の夜や妻は黒豆煮てゐたり   俳徊人→平板です。
29.ガス燈の潤む小樽や年行く夜   光雲2→季語が動きます。 
30.失った日々はかへらず年一夜   光雲2→「失いし日々かえらざり年一夜」これでも予選どまりです。
31.たがひの肩たがひに叩く年の夜  荒一葉→もう一歩です。
32.年の夜妻の湯浴みの長さかな   荒一葉→「長さかな」が疑問でした。
33.子の帰り来ず年の夜をひとり酌む いつせ→「帰り来ぬ子や年の夜の一人酒」
34.年の夜や勝手に騒ぎをるテレビ  いつせ→季語が動きます。
35.暗闇のガラスの向こう年行く夜  せつこ→「窓越しの闇いや深し年行く夜」
36.メモ書きの一つ残るや年の夜   せつこ→もう一歩です。
37.ホスピスの夫見守りつ年一夜   萌  →「ホスピスの夫見守り継ぎ年一夜」
38.年の夜の鐘おぼろげに死出の旅  萌   →「おぼろ」という形容詞は春を思わせるので使用は慎重に!
39.年の夜や喜怒哀楽を留めおき   みぃすてぃ→もう一歩です。
40.年の夜の雑事に追はれ仕舞風呂  風神 →「年の湯」という季語を使って詠むべき内容かと
41.年の夜の夫婦ふたりの静けさよ  風神 →下五がもう一歩「年の夜の夫婦ふたりでいる静寂」
42.年の夜や長い間の謎を解き    みぃすてぃ→句意が理解できませんでした。
43.年の夜の玄関ブザー鳴り止まず  悠太 →何故?と思いました。
44.童てふ母の背中や年の夜     悠太 →上五が分かりません。
45.また一本前歯の抜けて年の夜   凡愚痴歌→詩がないと思います。
46.年の夜の風呂の順番さあ早く   凡愚痴歌→これも「年の湯」という季語で詠むべき句かと思います。
47.頭上からミサルもあり年一夜   凡愚痴歌→何とも・・。
48.年の夜や窓それぞれの灯のひかり ふみ  →「年の夜や数多の窓に数多の灯」
49.年の夜や罹災の友の時刻憶ふ   ふみ  →「年の夜や罹災の友の失せし時」   
50.年の夜のお多福窓やすまし顔   6105→この季語とお多福窓とは付かないように思います。
51.年の夜に最後のビョウを刻むなり 6105→「ビョウを刻む」がしっくり腹落ちしません。
52.年の夜お節料理は夫まかせ    おはるさん→季語が生きていないように思います。
53.年の夜病み伏すわれに子の便り  おはるさん→この句も季語を活かしていないように思いました。
54.九十路の燠をかたへに年の夜   さかえ →「燠」よりも「榾」の方が合うのではないでしょうか?
55.足腰に感謝の湯舟年の夜     さかえ →これも「年の湯」という季語で詠むべき句かと思います。
56.振り返る十大ニュース年の夜   たまこ →平板です。
57.年の夜も働く人よありがとう   たまこ →「寒き夜も」「暑き日も」と様々に詠めるので季語が動きます。
58.中々に解けぬ知恵の輪年の夜   むさし →「年の夜」にはちょっと弱い付けと思います。
59.飛び石の関守石や年の夜     むさし →もう一歩です。
60.年の夜や相変わらずも忙しい   川口あおい→大いに季語が動きます。
61.年の夜や何故かは知らぬ忙しい  川口あおい→これも季語が動きます。
62.来る年の思い出の門年の夜    桉音  →平板です。
63.泡寄する波打ち際や年行く夜   桉音  →「時という波打ちの際年行く夜」
64.句を捻り蕎麦湯溢るる年の夜   桉音  →「蕎麦湯溢らせ一句捻らん年の夜」

(入選)
1.家計簿を締めて微笑み年の夜   郁文 →安堵した様が滲み出ています。
2.年の夜肩身の狭きニートかな   右陣平→普段以上に肩身の狭さがありそうです。
3.年の夜やテネシーワルツ目を閉じて 瞳人→あのゆったりした哀感のあるメロディーが似合います。
4.明日も吾で生きねばならぬ年の夜 コタロー→高浜虚子「去年今年」の句に通じるものがあります。
5.小船にて荒波越えん年の夜    コタロー→先行きの不安がありながらも、「〜越えん」が良いです。
6.年の夜年とり御膳昆布締め    素夢 →「年とり御膳」が利いています。
7.茶柱の二本も立てり年の夜    ひろ志→年の夜を特別なものとしています。
8.家計簿はわづかに黒字年行く夜  ひろ志→安堵の雰囲気が表現されています。
9.年の夜に生き生き動く古女房   山流 →頼もしいとも有難いとも思っています。
10.年の夜や歌合戦の様変はり    俳徊人→歌は世につれとは言いながらも、その変貌に驚いてもいます。
11.人はみなゴドーを待ちて年の夜  光雲2→年の夜にこそは現れそうな気がするのでしょうか。
12.夫婦茶碗のひびをなぞりて年の夜 荒一葉→ひび割れもまた愛しいと詠んでいます。
13.皴増えし夫の横顔年の夜     せつこ→一区切りの年の夜に夫の老いを今更に感じています。
14.年の夜の月やはらかや緩和ケア  萌   →緩和ケアという末期の症状に対する療法と年の夜の月が合います。
15.年の夜や窯火絶やさぬ陶芸家   風神 →陶芸の釜の火は年末も休むことはありません。
16.年行く夜おいてけぼりもまた良しと 太朗→喪失感や孤独感もまた楽しむしかないと詠んでいます。
17.年の夜や遺影の縁の傷の跡    悠太 →遺影を飾る額縁も傷付くほどの年月が経ったのでしょう。
18.ただひとり井井と佳し年一夜   ふみ  →達観した姿勢に清々しさを感じます。
19.年の夜の寝る子騒ぐ子笑顔の子  6105→年の夜の風景を子供の姿を通して詠んでいます。
20.SNSに揺らぐ現世や年の夜     さかえ →時事句です。顔の見えない恐怖を感じさせます。
21.万人の知る歌のなき年一夜    たまこ →今は「一世を風靡する歌」のない時代かも知れません。

(秀逸)
1.賑わいて家の膨らむ年の夜    郁文 
  →年越しの夜に都会から帰省した子供たちも加わって家が満杯になった様を詠んだ句。笑い声や暖かさを感じさせる表現が良いです。

2.年の夜も砂落ち続く砂時計    影法師
  →人は人為的に時間を区切って1年の終わりと始まりを作りますが、時間に区切りはなく、粛々と時は流れています。砂時計はその象徴であり、そんな砂時計の休みなく落ち続ける砂に着目した句です。

3.明日からもいつもと同じ年一夜  柚子 
  →高浜虚子の「去年今年貫く棒のごときもの」に通じる句です。新たな年への希望や抱負はあるものの、時の流れは常に一定で何の変化もない、それでも変わらなければと思っているのかと思います。

4.包丁を念入りに研ぐ年の晩    ゆき 
  →包丁は料理に欠かせない道具である、この1年休まずに使い続けた主婦にとっては片腕のような道具に
違いありません。そんな道具でありながら大切なパートナーでもある包丁を、一年の感謝を込めて、丁寧にゆっくりと研いでいる様子が詠まれています。

5.白く白く晒す布巾や年の夜    むさし 
  →この句も4.の句に通じる句です。洗い物を拭いたり、芋の裏越しに使ったりした台所の付近を年の夜にはくぎりとして、いつもよりも丁寧に洗い、漂白剤を使って白くしています。上五の字余りにしても敢えて「白く」を重ねた表現で、その白くする行為が強調されて佳句に仕上がっています。


以上で90句の講評を終えます。
新たな兼題はまた後程、