あした ネット句会
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兼題「散る紅葉」 投稿者:宗匠 投稿日:2024/11/12(Tue) 08:50 No.11961  
新たな兼題を初冬の季語「紅葉散る」とします。傍題には「散紅葉」「散る紅葉」「散りそむる紅葉」があります。またこれとは別の季語で同じく初冬の季語で「冬紅葉」がありますが、こちらは静と動でいえば「静」の方と言えます。この静の紅葉に対して、今回の「散る紅葉」は「動」の紅葉ととらえていただいて良いと思います。また「紅葉」自体は秋の季語で、その中には晩秋の季語で「紅葉かつ散る」という季語があります。この季語の紅葉は、片方は紅葉しているが、もう片方ではすでに散り始めている、という状態を指しています。そして今回は初冬の季語で「動」の紅葉の季語「散る紅葉」になります。この微妙な差を出した句に仕上げてみてください。
今回の投句の締切は12月3日(火)辺りを予定しております。お一人3句までをお守りいただき投句ください。


Re: 兼題「散る紅葉」 風子 - 2024/11/14(Thu) 15:26 No.11962  

山道を埋めつくせり散る紅葉
宙を舞う自由は厳し散る紅葉
花嫁の白無垢の上散る紅葉


Re: 兼題「散る紅葉」 リタイア - 2024/11/15(Fri) 08:47 No.11963  

散る紅葉娘を誘い菩提寺へ


Re: 兼題「散る紅葉」 柚子 - 2024/11/15(Fri) 10:18 No.11964  

雨に濡れ陽に輝きて散紅葉
紅葉散る掃いた先から赤く染め
ふるさとを遠く離れて散る紅葉


Re: 兼題「散る紅葉」 リタイア - 2024/11/15(Fri) 12:48 No.11965  

朝陽浴び十和田湖畔に紅葉散る


Re: 兼題「散る紅葉」 郁文 - 2024/11/15(Fri) 13:45 No.11966  

紅葉散る栄華に刻む光堂
奥入瀬の川に流るる散紅葉
幽寂の田沢湖澄みし紅葉散る



Re: 兼題「散る紅葉」 影法師 - 2024/11/15(Fri) 15:01 No.11967  

華やげる日々ありにけり紅葉散る


Re: 兼題「散る紅葉」 いわし雲 - 2024/11/16(Sat) 11:30 No.11968  

散る紅葉美しいまま落ちにけり
紅葉散るいつもの道に色付けり


Re: 兼題「散る紅葉」 いわし雲 - 2024/11/16(Sat) 11:43 No.11969  

紅葉散る芙美子の歩く千光寺


Re: 兼題「散る紅葉」 花雨 - 2024/11/16(Sat) 17:30 No.11970  

散りそむる紅葉の中に遺影持つ


Re: 兼題「散る紅葉」 鈍愚狸 - 2024/11/17(Sun) 20:15 No.11971  

一汁と一菜の魚鼓紅葉散る


Re: 兼題「散る紅葉」 荒一葉 - 2024/11/18(Mon) 13:47 No.11972  

湯の街の露天の砂湯散紅葉
野仏のしづかな笑みや散紅葉
若冲の二羽の小禽紅葉散る


Re: 兼題「散る紅葉」 せつこ - 2024/11/19(Tue) 20:33 No.11973  

紅葉散る原爆の火の結願寺
結願の杖の先なる散紅葉
人生になおある未練散る紅葉


Re: 兼題「散る紅葉」 東馬 - 2024/11/20(Wed) 14:13 No.11974  

散る黄葉追ふ散る紅葉古戦場


Re: 兼題「散る紅葉」 ゆき - 2024/11/20(Wed) 20:24 No.11975  

紅葉散る安房の瀑布や沈下橋



Re: 兼題「散る紅葉」 ゆき - 2024/11/21(Thu) 08:01 No.11977  

散る紅葉信玄の隠し湯に

11976の句の訂正です、申し訳ありません。


兼題「セーター」の講評 投稿者:宗匠 投稿日:2024/11/11(Mon) 10:08 No.11959  
兼題「セーター」に88句もの投句をいただき有難うございました。兼題の「セーター」は人事の季語であるだけに、様々なシーンが考えられます。しかしその様々なシーンにおける季語の取り扱いや具象化または抽象化はかなり幅があります。そこで今回は思うところがあり、予選のみならず入選に関しても添削を行っています。しかもかなり飛躍した添削もかなりあります。元の句と添削句を見比べて、季語のとらえ方、踏み込み方の違いを確認し、次のつなげていただければと思っています。また今回は選を厳し目にしたため入選以上の句がかなり絞られましたことも申し添えさせていただきます。では宗匠選及び講評を予選から始めさせていただきます。

□宗匠選と講評

(予選)
1.ハミングの音色もいれて編むセーター 東馬 →散文です。「セーター編むハミングの音も込めながら」
2.セーターはフランス国旗国を出る   東馬 →下五の「国を出る」が疑問でした。
3.セーターをほどく糸巻く小さな手   いわし雲→惜しい!「セーターをほどく糸巻く小さき手に」
4.セーターの編み目飛ばして穴一つ   柚子 →散文です。
5.セーターのひと目ひと目に日々重ね  柚子 →「セーターのひと目ひと目に思う日々」
6.セーターや抱かれ眠る夢心地     みぃすてぃ→季語が動きます。また下五は言い過ぎ。
7.小包や手編みのセーター届きけり   みぃすてぃ→季語が動きます。セーター以外でも詠めます。
8.セーターの穴がくすぐる母性あり   影法師→「セーターの穴にくすぐるらる母性」
9.髭剃りのごとセーターの毛玉取り   ゆき →いまいちです。
10.半額のセーター買ふをためらはず   ゆき →季語が動きます。
11.セーターの糸を選んだ母さんと    リタイア→「セーターの糸選びしは母さんと」
12.母編んだセーター伸ばしアイロンを  リタイア→平板でかつ散文です。
13.セーターや母の手編みの袖長し    コタロー→二段切れ。惜しい「セーターや母の手編みの袖長く」
14.猫の毛の薫り仄かや黒セーター    コタロー→「猫の毛のいや目立ちたる黒セーター」 
15.親子してセーター手にし毛玉取り  郁文  →「セーターの毛玉取りし日親子して」
16.ナフタリン臭うペットのセーター着  郁文  →着るのは誰でしょうか?盛り込み過ぎ。
17.セーター脱ぐ未練の髪が絡みつく   荒一葉 →「セーターを脱げば未練の髪絡み」
18.セーターのかぎ編み講座にぎやかし  みさ  →季語が主役になっていません。
19.編みかけのセーター残し姉逝けり   俳徊人 →「姉逝けり編みかけセーター残る部屋」
20.恋やぶれペアのセーター残りけり   俳徊人 →「恋終わるペアのセーター手に残し」
21.セーターを演歌のごとく編みにけり  花雨  →「セーター編む演歌のごときコブシ付け」
22.セーターはスクールカラー車椅子   ひろ志 →意味を理解できませんでした。
23.セーターを優しく抱いて口説かるる  ひろ志 →「セーターをふわりと抱かれ落ちる恋」
24.セーターを洗ひて縮みぴったりに   いわし雲→詩がないと思います。
25.セーターを焦がして母の大目玉    いわし雲→「焦げ穴のセーター母の冷視線」
26.徳利のセーターいかす裕次郎     川端  →「徳利セーターいかす着こなし裕次郎」
27.お似合いのセーターそろへ両陛下   川端   →「両陛下の休日おそろのセーターで」 
28.セーターを編む母の背はなほ丸く   川端  →「セーター編む母の背丸くなお小さく」
29.ドアノブのパチンが怖い今日セーター しーしー→「セーター着て怖しドアノブ静電気」
30.トックリのセーター苦手こそばゆい  しーしー→「トックリセーター苦手の理由(わけ)はこそばゆく」
31.藪を出るくっつき虫をセーターに   しーしー→虫は夏の季語。「藪出れば必ず何か付くセーター」
32.また着ます母のセーター編み足して  リタイア→→もう一歩です。
33.編みかけのセーター一枚タンスより  おはるどん→「見つけ出しし編みかけセーター語る日々」
34.染め替えしセイタ−は母の手編みにて 麦藁草 →「セイター」→「セーター」句としてはまずまずです。
35.初恋はとっくりのセ−タ−似合う君  麦藁草 →「トックリセーターに蘇る人初恋の」
36.背に当てて夫のセーター編み進む   むさし →「夫の背に当ててセーターまた編みぬ」
37.セーターを肩に纏て学生街      むさし →「セーター肩に纏う若さや学生街」
38.セーターの胸に顔寄せ鼓動聴く    むさし →散文です。「セーターの胸に顔寄せ聴く鼓動」
39.セーターを編む手進まず二年越し   たまこ →「二年越しのセーター編みぬ恋のごと」
40.セーターの胸にイニシャルVネック  たまこ →「セーターにイニシャル首はVネック」でも予選
41.セーターの柄はトナカイ北の国    たまこ →まずまずです。
42.セーターを背中に君を待つ渋谷    穣一  →「セーターを背中に」?「セーターの背中で君を待つ渋谷」
43.セーターの網目に残る母の顔     穣一  →「妣の貌セーターの粗き編目にも」
44.野仏や青セーターに零す笑み     光雲2 →意味がつかめませんでした。  
45.ふんはりとセーター纏ひガサの市   光雲2  →ちょっと付きません。ガザはもっと荒廃した状況かと。 
46.虫食ひのセーターされど手放せぬ   光雲2  →「虫食ひのセーターされど手放せず」連用形でリフレイン
47.寝かしつけてから編む児のセーター  いつせ →「寝かしつけ寝顔を見つつ編むセーター」
48.去りし彼のセーター今はただの糸   萌   →「元彼に編みしセーター今糸に」
49.老ふほどに派手好みなる赤セーター  風神  →「老ふゆえに派手派手が良し赤セーター」
50.セーターの胸にイニシャル春夫君   風神  →いまいちです。
51.編み上げしセーター渡す前の夜    花雨  →「手編みセーター渡す前夜の胸の波」
52.肘ぬけたとっくりセーター捨てられず かくた まき「訳ありて肘ぬけセーター捨てきれず」
53.だぶだぶのセーター着てははしゃぐ子等 山流 →まずまずです。
54.おさがりのセーター着こみ呑み会に  山流  →「妻兼用のセーター着で行く飲みの会」
55.古猫は古セーターをお気に入り    山流  →「古猫のお気に入りなり古セーター」
56.木道を赤きセーターすれ違ふ     せつこ →平板です。
57.セーターの擦れし袖口毛玉摘む    せつこ →「セーターの擦れ袖にある憂き世」
58.妻の編むセーターの玉ニャアの声   6105→「猫じゃれる妻編むセーター毛糸玉」
59.セーターの虹色飾るアボリジニ    6105→「セーターに虹色飾るアボリジニ」
60.セーターの穴の記憶や鬼ごっこ    6105→「セーターの穴より見ゆる鬼ごっこ」
61.セーターの昭和の温み親の里     桉音  →「セーターの昭和の温み里帰り」
62.ペアルックのセーター似合う散歩道  とえ  →平板です。「ペアのセーター少し照れつつする散歩」
63.颯爽と真っ赤なセーター着こなして  とえ  →平板です。「颯爽と真っ赤なセーター足は下駄」
64.セーターに想ひを編みし青春よ    ふみ  →「セーターに編み込む想ひ青き日へ」
65.愛犬も赤セーターやレストラン    ふみ  →「愛犬も赤セーターで行くディナー」
66.赤あを黄のセーターか蹴る遊園地   ふみ  →「か蹴る」→「駆ける」では?

(入選)

1.包まるる手編みセーター亡き妻の   達三 →上五にもう少し工夫が欲しいところでした。
2.セーターの毛玉のできる同じ箇所   柚子 →なるほどと思いました。
3.肘当ての擦切れセーター青春史    瞳人 →貧しかった青春時代でしょうか。
4.頬染めて贈るセーター頬の色     みぃすてぃ→セーターの色を頬の色としたのが成功。
5.父をふと柿渋色のセーターに     ゆき →シックなお父さんだったようです。
6.セーターは二枚重ねや北の旅  コタロー→二枚重ねを出したのはお手柄です。
7.セーターのお古は昔一人っ子  郁文  →かつては子だくさんでお下がりは当たり前でした。
8.セーターに毛玉人には倦怠期     荒一葉 →秀逸候補の佳句です。
9.虫穴に刺繍施す子のセーター     みさ  →物のない時代にはこんな工夫もありました。
10.取つときのビーズのひかる黒セーター みさ  →勝負服の一つになっていたのでしょうか。
11.還暦のうれしはづかし赤セーター   俳徊人 →中七は言い古された表現ですが還暦でOK.
12.セーターの温みに寄せる頬二つ    ひろ志 →下五を「〜頬と頬」としても良いかも。
13.セーターの赤近ずきて君眩し     穣一  →セーターの赤以上に眩しいものがあった?
14.首を出しあらセーターの裏向きだ   いつせ →「セーターを着終えて気づく裏返し」では?
15.起毛セーターかぶれば黒き熊のごと  萌   →俳諧味があります。
16.子に万歳させてセーター脱がしけり  風神  →よくあるシーンですがうまくまとめました。 
17.抽斗のナフタリンの香古セーター️   桉音  →そういえば近頃余りナフタリンを見ません。
18.愛着のセーター直し紅玉婚 (ルビー婚) 桉音 →ルビー婚は40年。大切に使ってこられたのでしょう。

(秀逸)
1.赤セーター凡なる日々にさよならし  東馬 
→これまで着たことのなかった赤のセーターを買い、思い切ってそれを着て町にでもでたのでしょうか?平凡な日々に何か変化を付けて変えてみようという気持ちが表現されていて、前向きな良い句にまとまっています。

2.セーターは真つ赤八十路は反抗期   荒一葉 
  →この句も80歳の老人はグレーや地味な色の服をして大人しくしていなければならないという訳の分からない常識に反抗して、むしろ若者よりも派手に暮らすという老人の意気を感じさせる句です。

3.解いては子から孫へと継ぐセーター  萌   
  →実は持続可能な社会を目指すというサステナビリティ―やエコロジーが叫ばれている現在よりもずっと前から、日本では着物の洗い張り、布団の打ち直し、セーターの編み直しなど、様々資源の再利用が家庭のレベルで行われていました。そんなことを思い起こさせる句であると思いました。

4.旅支度セーターひとつ増やしけり   せつこ 
  →旅行に出発する際には、必要不可欠なものが漏れていないかを確認すると共に、必要最小限に絞って可能な限り軽く小さくと考えるものです。それでも冬場における旅行では、目的地の機構など考えて、やはりセーターがあった方が良いのでは、などと思案します。そんな迷いを起こさせる衣類の一つが中七の「セーターひとつ」に込められています。


以上で88句の講評を終えます。
新たな兼題はまた後ほど、
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