あした ネット句会
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兼題「梅雨の蝶」 投稿者:宗匠 投稿日:2025/05/24(Sat) 09:09 No.12313  
新たな兼題を「梅雨の蝶」とします。そもそも「蝶」は春の季語ですが、蝶は夏も秋も冬にも存在するので、それぞれ夏の蝶、秋の蝶、冬の蝶や凍蝶などの季語が存在します。今回の「梅雨の蝶」は夏の蝶の中でも特に梅雨の晴れ間に飛ぶ蝶を指しています。「夏の蝶」が三夏(夏を通して使える季語)の季語であるのに対して「梅雨の蝶」は仲夏の季語とされており、傍題には「五月雨蝶」があります。雨で飛べない夏の蝶が梅雨の晴れ間に嬉しそうに飛ぶ「梅雨の蝶」をあなたらしい視点で詠んでください。今回の締切を6月17日頃とさせていただきます。お一人3句までのルールをお守りいただき奮ってご投句ください。


Re: 兼題「梅雨の蝶」 膝痛 - 2025/05/26(Mon) 17:04 No.12314  

梅雨の蝶衒い隠して雨宿り
先月の投句ご助言ありがとうございました。季重なりが過りましたが、やはりですね。精進します。


Re: 兼題「梅雨の蝶」 太朗 - 2025/05/28(Wed) 13:12 No.12315  

梅雨の蝶銀座闊歩の老女優

兼題「卯波」では秀逸にお選びいただき有難うございました。


Re: 兼題「梅雨の蝶」 郁文 - 2025/05/29(Thu) 10:57 No.12316  

小憩や干せし和傘に梅雨の蝶
陽に白き対の戯れ梅雨の蝶
朝日射す川面光るや梅雨の蝶


Re: 兼題「梅雨の蝶」 膝痛 - 2025/05/29(Thu) 17:32 No.12317  

梅雨の蝶尾羽打ち枯らし海峡へ


Re: 兼題「梅雨の蝶」 鈍愚狸 - 2025/05/31(Sat) 10:10 No.12318  

とにもかく飛べるよろこび梅雨の蝶
放浪や宿る軒なき梅雨の蝶




Re: 兼題「梅雨の蝶」 コタロー - 2025/06/01(Sun) 01:48 No.12319  

梅雨の蝶ショパンの調べに乗って翔ぶ
梅雨の蝶翅に漲る力かな
雨粒に大きく映る梅雨の蝶


Re: 兼題「梅雨の蝶」 リタイア - 2025/06/01(Sun) 19:17 No.12320  

梅雨の蝶晴れ間楽しみらららかな


Re: 兼題「梅雨の蝶」 膝痛 - 2025/06/01(Sun) 19:44 No.12321  

梅雨の蝶妖しく濡れて夜に舞う


Re: 兼題「梅雨の蝶」 荒 一葉 - 2025/06/03(Tue) 08:56 No.12322  

キッチンカーの轍くつきり梅雨の蝶
梅雨の蝶他人ばかりの交差点
軒に干す白の産着や梅雨の蝶


Re: 兼題「梅雨の蝶」 古人 - 2025/06/03(Tue) 13:35 No.12323  

陽の射して庭木の陰より梅雨の蝶


Re: 兼題「梅雨の蝶」 ひろ志 - 2025/06/03(Tue) 18:15 No.12324  

梅雨の蝶昨日も今日も休養日
生茂る木々の揺らぎや梅雨の蝶
庭へ来る五月雨蝶に陽の恵み


Re: 兼題「梅雨の蝶」 しーしー - 2025/06/04(Wed) 08:51 No.12325  

木のしずくまだ垂るなかを梅雨の蝶
ハンドルのクロームメッキ梅雨の蝶
水滴を揺らしてとまる梅雨の蝶


Re: 兼題「梅雨の蝶」 リタイア - 2025/06/05(Thu) 16:25 No.12326  

晴れ渡り木陰で休む梅雨の蝶


兼題「卯波」の講評 投稿者:宗匠 投稿日:2025/05/23(Fri) 18:46 No.12312  
兼題「卯波」に88句もの投句をいただきました。有難うございます。今回は卯の花の咲く頃に初夏の海に大きくうねる「卯波」という季語で詠んでいただきましたが、具体的に見える季語であるだけに、むしろ目に見えないものと合わせたり、卯波の立つ場所を特定したりした詠み方があると思いますが、今回は創作季語や、余りにも曖昧で離れたものとの付けた句も目立ったように思いました。また今回は少し時間的余裕がありましたので添削した句が多かったため、入選以上の句が減ったかも知れません。但し、秀逸の句は多かったようです。では宗匠選と講評をさせていただきます。

□宗匠選と講評
(予選)
1.房総のあけすけな沖卯波立つ   達三 →中七がもう一歩です。
2.遺言は卯波に骨を撒けといふ   詩雨 →散骨の場所として卯波というのは無理が。「散骨は卯波の沖という遺言」
3.竜馬像対峙卯波立ちたる太平洋  コタロー→上五の表現が疑問です。「竜馬像向くは卯波の太平洋」
4.料亭「卯波」に並ぶ魚の瞳かな  コタロー→「卯波」は料亭ではなく小料理屋なのです。また店名は季語になりません。
5.鴨川沖卯波の花に散る恋よ    コタロー→「鴨川沖卯波の花が散らす恋」
6.卯波寄す滑るサーファーバレル波 郁文 →「サーファーは卯波のバレル滑り切り」
7.卯波立つ男見つめる桂浜     郁文 →「男ひとり卯波立ち初む桂浜」
8.卯波立つ真砂女の息吹銀座まで  郁文 →「卯波立てば真砂女の意気地銀座まで」
9.拒否されし軍艦島に卯波立つ   杏だんて→「着岸不可の軍艦島に立つ卯波」
10.卯波晴日の出の海に散骨す    杏だんて→「卯波晴」は天文の季語めいています。「卯波立つ日の出の海に散骨す」
11.自転車で渡るしまなみ卯波風   杏だんて→「卯波風」も天文の季語のようです。「自転車で渡るしまなみ見ゆ卯波」
12.大空へ白く羽ばたく卯波かな   せつこ→やや平板です。
13.江の島へ牙剥き立つる卯月波   ひろ志→中七がオーバーです。「江の島へ牙剥くように卯月波」
14.君見れば凪の心に卯波たつ    リタイア→散文的です。「君見れば凪の心に立つ卯波」
15.相続の不公平差に卯波たつ    リタイア→これは虚の「卯波」であり季語にはならないかと・・。
16.釣り人のテトラポッドに卯月波  しーしー→季語が動く。他の季節の波でも詠めます。
17.突堤の卯波の内をフェリー来る  しーしー→同上です。
18.腰伸ばし眺める富士に卯波立つ  リタイア→卯波を背にしてどこに立っている?「卯波立つ神奈川沖に見ゆる富士」
19.たらひ舟佐渡に卯波の膨れ立つ  みさ →たらい舟は内海や湾内なので、卯波には会わないのでは?
20.卯波こそ漁師の腕の見せどころ  鈍愚狸→目的語が見えません。何をする腕のみせどころなのでしょうか?
21.新米の出でゆく舟に卯波かな   鈍愚狸→だから何?という問いが出そうな句です。
22.亀岩に寄する卯波の潮煙     ゆき →明るさが欲しいです。「亀岩に寄する卯波の潮の綺羅」
23.をちこちに浮かぶ白き帆卯波かな みぃすてぃ→季語が動きます。
24.江の島の海に卯波や帆走る    みぃすてぃ→これも季語が動きます。
25.卯波立つ白蛇のごとし巌を噛む  光雲2 →三段切れです。「立つ卯波白蛇のごとし巌を噛み」
26.卯波荒れ君亡き余生想像だに   萌  →下五を5音に収めるべき。「卯波荒れ君亡き余生夢想だに」
27.多忙な日々まるで卯波に飲まれそう 萌 →季語の卯波が生きていませんし、季節感がありません。
28.卯波寄せ孫の内定もたらしぬ   萌  →散文的です。「卯波寄す孫に内定いでし報」
29.卯波聞き父と祝ひの靴を買ふ   凡愚痴歌→季語に付きませんし、季語が生きていません。
30.老妻に寄せる卯波よ若き日よ   凡愚痴歌→観念的な(譬えとしての)卯波であり季節感がありません。
31.房総の真砂女の生地卯波立つ   俳徊人 →ど直球の句。少し捻って「卯波立つ真砂女の愛し安房の海」では?
32.入海に寄せては返す卯波かな   俳徊人 →入り海にはあまり卯波は立たないのでは?
33.卯波立つ二人の愛は波に消へ   川端  →もう一歩です。「卯波立つ二人の愛にある起伏」
34.卯波荒れ佐渡への船は揺れに揺れ 川端  →だからどうした?と言われそうな句です。
35.母の忌の済みし丹後の卯波かな  かく たまき→中七、下五が冗漫です。「母の忌を修し丹後に立つ卯波」
36.サーファーのかしづくままの卯波かな 悠太 → 擬人化の方が良いです。「サーファーをかしづくかせたる卯波かな」
37.静かなるたましひ揺るる卯波かな 悠太 →あまりにも抽象的で季節感がありません。
38.曳く波のひかり残せし卯波かな  風神 →もう一歩です。
39.卯波立ちパラグライダー舞う砂丘 6105→砂丘の向こうが海でしょうか?
40.ビシビシと寄せ来る卯波湾を満つ 6105→オノマトペと下五の表現が疑問です。
41.卯波濃し供花の絶えぬ海難碑   さかえ→「卯波濃し」という季語はありません。
42.大卯波軍艦島へ牙をむく     さかえ→散文的でちょっとオーバーかと。
43.意を曲げし輪にゐて憂き身卯月波 瞳人 →もっと素直に「心ここに無き人の輪に卯月波」では?
44.芦ノ湖に映る鳥居に卯波よす   穣一 →芦ノ湖で卯波は立つのでしょうか?
45.岩礁に散る卯波かな花浜匙    桉音 →この二物が噛み合っていません。並列させて「岩礁に光る卯波に花浜匙」 
46.人の灰卯波に光り消えにけり   桉音 →上五の「人の灰」は散骨のこと?「散骨の白さ卯波に光けり」
47.ぢりぢりと卯波へ挑むフェリーかな 桉音→「ぢりぢりと卯波へ挑むかのフェリー」これでも季節感はありません。
48.帆掛け舟卯波切り裂き風に乗る  タケオ→散文であり、「ああそうですか俳句」です。
49.出来立ての潮の香りの卯波かな  山流 →上五の形容が疑問です。
50.オホーツク流氷去りて卯波立つ  膝痛 →「流氷」は仲春の季語、「卯波」は初夏の季語で季違いです。
51.卯波見て田畑耕し撒石灰     膝痛 →「耕す」は三春の季語で、これも季違いです。
52.爺婆や卯波の海に糸垂れる    膝痛 →「爺婆」が主役?「や」で切る必要ある?「老戦士卯波の海に糸を垂れ」

(入選)
1.少年の背な追いかけし卯波かな  せつこ→遠景からの描写でしょうか。まずますです。
2.逆縁は寂しきものよ卯波立つ   せつこ→逆縁は若い親類が先に亡くなることですが、卯波に付きます。
3.卯浪寄す白き灯台島岬      ひろ志→まずまずの景の句です。
4.卯波来る海芝浦の駅ホーム    ひろ志→「来る」よりも「見ゆ」かと思いましたが、句としては入選です。
5.やわらかく卯波のよせる親不知  しーしー→やわらかくと峻険な断崖の親知らずの取り合わせが良いです。
6.卯波荒れ荒磯に立つる潮煙    ゆき →厳しい景の句に仕上げています。
7.夕映えの無人灯台卯波立つ    みさ →灯台の灯に浮かび上がる卯波が見えます。
8.岩鼻の卯波まぶしき真砂女の碑  みさ →平板ですが、言いたいことを全部含めた句です。
9.水軍の瀬戸の能島の卯波かな   荒 一葉→物語性のある卯波の句です。
10.風孕み傾ぐヨットや卯波立つ   荒 一葉→卯波の立つ風景描写として仕上がっています。
11.海女桶を揺らす卯波や鞆の浦   荒 一葉→卯波は「海女桶を揺らす」よりももっと激しいかも。
12.卯波立つ見越しの崎や恋おはる  みぃすてぃ→卯波と恋の終わりも付くと思います。
13.舳先へは大漁旗や卯月波     光雲2 →まずまずの景の句です。
14.江ノ電の窓に江の島卯波立つ   川端  →まさにザ・江の島という句ではあります。  
15.変幻の積丹ブルー卯波立つ    風神 →珍しい北海道の卯波の句です。
16.鴎追ふ渡船に高き卯波かな    風神 →真砂女の句の本歌取りのような句ではあります。
17.大漁旗卯波乗り越え出港す    6105→中七が良いです。
18.潮騒の卯波さなみや壱岐対馬   さかえ→これもまた珍しい長崎の卯波の句ですね。
19.引き揚げ船付きし桟橋卯波寄す  いつせ→この句は終戦直後のことでしょうか。ちょっと惹かれました。
20.卯波切り裂き軍艦の出港す    いつせ→卯波と軍艦の取り合わせも悪くないです。
21.卯波立つ九十九里浜人見へず   穣一 →無人の九十九里の卯波も良いですね。  
22.消息の知れぬ拉致人卯波荒れ   穣一 →拉致被害者の思いを馳せて、卯波を荒れさせています。
23.磯笛の卯波の中にきこえけり   タケオ→これは心象句で実際には聞こえませんがそんな気がしたという句です。
24.灯台の灯に浮かびたる卯波かな  タケオ→まずまずの句です。
25.卯波立つ鴎が唄う浜甚句     山流 →鴎に浜甚句を歌わせたのは上手いと思いました。 
26.卯波立つ機嫌斜めの今朝の浜   山流 →中七の表現が卯波に合います。
27.外房の浜の形の卯波かな     山葡萄→そうなのでしょうか?面白いと思いました。
28.いくたびも岸壁よづる卯月波   山葡萄→卯波の激しさが詠まれています。
29.紺碧の海を跳ねゐる卯月波    山葡萄→平板ではありますが、まずまずの句に仕上がっています。

(秀逸)
1.卯月波ときに椿事もある我が家  太朗 
  →穏やかに見えていて急に盛り上がるように高まる卯波と、平穏の中に思わぬ出来事が生まれる家庭を取り合わせた句です。しかし取り合わせた卯波が初夏の季語であるだけに、その椿事もまた明るい出来事のように思わせています。

2.卯波立つ岩礁あらは流人の碑   ゆき 
  →流人の島の卯波の句でしょうか。予期せぬタイミングで押し寄せる卯波とあらぬ嫌疑で流されて来たこの地で没した人を対象ささえていて、世の無常を表現した句であると思いました。

3.卯波立つかぜが笛吹く龍飛崎   光雲2 
  →難所の龍飛岬はかつては青函連絡船が通り、かつその船が遭難する事件もあった場所です。そんな無常感の漂う場所で風を擬人化して笛を吹かせています。どんな音なのだろうかと想像させる句です。

4.御破算のできぬ人生卯波立つ   東馬 
  →卯波という目に見える季語に対して取り合わせる場合には、場所もあり得ますが、目に見えないものの取り合わせも効果的です。この句は目に見えない、人の生き方や定めのようなものを取り合わせて成功しています。予期せぬタイミングで生まれては消える卯波に対して、生まれても消せない柵(しがらみ)を取り合わせていて上手いと思いました。

5.たくましき四男一女卯波立つ   凡愚痴歌
  →この句の取り合わせは乱暴とも思える卯波に対して、可愛い女の子は一人だけで、後は暴れん坊の男の子ばかり4人の家族構成を付けました。これもまた上手い取り合わせです。

6.卯波寄す伊根の舟屋の一処    俳徊人 
  →京都の若狭の海に面した名勝である伊根の舟屋に卯波を付けました。そこであれば卯波もまた生きるであろうと思われる場所との取り合わせという意味でいただきました。

7.卯波かな高みをめざす夢追ふて  悠太 
  →この句も真砂女の句の本歌取りのような句に見えますが、こちらは自らの生き方を卯波に重ねています。この句も含めて秀逸に取らせていただいた句はどれも卯波という地理の季語の特徴や季節感を睨んだ上で、程よい関連性をもつものを付けて成功しています。その意味でどれも季語を生かした句であると思いました。


以上で88句の講評を終えます。
新たな兼題はまた後程、

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