あした ネット句会
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兼題「秋刀魚」 投稿者:宗匠 投稿日:2025/10/17(Fri) 13:37 No.12551  
新たな兼題を「秋刀魚」(さんま)とします。今年は豊漁でサイズも大きめのようです。季語の「秋刀魚」晩秋の動物に分類されますが、これまで「秋刀魚」を詠んだ句を見ると、ほぼ焼いたり刺身にしたりの食べ物としての「秋刀魚」であり、その意味では人事の句ということになりますが、今回は動物という季語分類にとらわれず、食べる方の「秋刀魚」を詠んでいただいても結構です。傍題には「初さんま」「青さんま」「秋刀魚来る」等があります。「秋刀魚」にまつわる貴方らしい句を捻ってください。今回の締切は11月11日とさせていただきます。お一人3句までのルールを守っていただき奮ってご投句ください。


Re: 兼題「秋刀魚」 膝痛 - 2025/10/18(Sat) 12:02 No.12552  

大谷に匂い届けと秋刀魚焼く


Re: 兼題「秋刀魚」 郁文 - 2025/10/19(Sun) 16:30 No.12553  

黒潮に光る銀色秋刀魚来る
根室沖入港絶えぬ秋刀魚船
先ず造り後に焼き立て我が秋刀魚


Re: 兼題「秋刀魚」 膝痛 - 2025/10/20(Mon) 09:06 No.12555  

秋刀魚刺し地の利に感謝杯重ね


Re: 兼題「秋刀魚」 膝痛 - 2025/10/20(Mon) 22:15 No.12556  

秋刀魚刺し地の利感謝と杯重ね


Re: 兼題「秋刀魚」 膝痛 - 2025/10/20(Mon) 22:20 No.12557  

12555を削除願います。三段切れに。投句の削除がわからず…。


Re: 兼題「秋刀魚」 膝痛 - 2025/10/20(Mon) 23:08 No.12558  

黒潮蛇行終息豊漁秋刀魚


Re: 兼題「秋刀魚」 ののはな - 2025/10/21(Tue) 06:04 No.12559  

秋ともしでは秀逸ありがとうございます。
戦後まもなくして生まれた私には、母が季節の変わり目に度々服を縫ってくれた思い出がございます

大漁旗はためく浜辺秋刀魚競る

うらがへし又うらがへし秋刀魚焼く

一匹のさんま焼てふ独居かな


Re: 兼題「秋刀魚」 詩雨 - 2025/10/22(Wed) 12:48 No.12560  

足取りの軽く帰れば初秋刀魚


Re: 兼題「秋刀魚」 影法師 - 2025/10/23(Thu) 09:50 No.12561  

妻との夕餉秋刀魚の記憶語り合い


Re: 兼題「秋刀魚」 達三 - 2025/10/23(Thu) 10:02 No.12562  

初さんまの我が家三ツ星レストラン


Re: 兼題「秋刀魚」 太朗 - 2025/10/24(Fri) 05:32 No.12563  

煙いし露地の記憶や秋刀魚食む

兼題「秋の灯」で秀逸の評を有難うございました。


Re: 兼題「秋刀魚」 瞳人 - 2025/10/24(Fri) 10:43 No.12564  

初さんま売るは名のみの隠れ塩 
   
ぬる酒と秋刀魚と古き女房と


Re: 兼題「秋刀魚」 みさ - 2025/10/24(Fri) 16:14 No.12565  

盛り上がる秋刀魚の漁や銚子沖
献立のいらぬ暮しや秋刀魚焼く
特売の秋刀魚に並ぶ朝の市


Re: 兼題「秋刀魚」 ののはな - 2025/10/25(Sat) 07:15 No.12566  

12559の最初の句は付きだと思まいますので削除して下さい。

酒焼けの塩辛声や秋刀魚競る
に訂正お願いします。


Re: 兼題「秋刀魚」 ゆき - 2025/10/25(Sat) 14:01 No.12567  

秋灯では秀逸を賜り有難うございました。

豊漁は久方ぶりの初秋刀魚
水揚げの秋刀魚に沸ける漁師町
店先の焼きたて秋刀魚よく売れて


Re: 兼題「秋刀魚」 川口あおい - 2025/10/26(Sun) 01:14 No.12568  

秋刀魚焼き皆で食べる美味しけり


Re: 兼題「秋刀魚」 コタロー - 2025/10/26(Sun) 05:21 No.12569  

焼き秋刀魚白き眼も抉りけり
猫ならばどれを選るのか初さんま
空のあを海の碧見て秋刀魚喰ふ


Re: 兼題「秋刀魚」 みぃすてぃ - 2025/10/26(Sun) 14:07 No.12570  

さんま焼く父の帰りを待つ夕べ
あの頃は人多き街秋刀魚焼く
真相は分かり難しや秋刀魚の眼


Re: 兼題「秋刀魚」 しーしー - 2025/10/28(Tue) 08:56 No.12571  

船傾げ網引き上げる秋刀魚漁
マーケット台車に山と秋刀魚積み
焼秋刀魚小骨は飯とともに嚥む


Re: 兼題「秋刀魚」 ひろ志 - 2025/10/28(Tue) 09:59 No.12572  

秋刀魚焼く風の夕ぐれ消防暑
餌喰い良き水族館の青さんま
活気づく銚子の漁港初さんま


Re: 兼題「秋刀魚」 ひろ志 - 2025/10/28(Tue) 10:02 No.12573  

秋刀魚焼く風の夕ぐれ消防署
餌喰い良き水族館の青さんま
活気づく銚子の漁港初さんま


Re: 兼題「秋刀魚」 古人 - 2025/10/29(Wed) 11:44 No.12574  

競り声のますます高し初秋刀魚




兼題「秋の灯」の講評 投稿者:宗匠 投稿日:2025/10/17(Fri) 13:02 No.12550  
兼題「秋の灯」に84句もの投句をいただき有難うございました。「秋の灯」は秋の灯火であり様々なシチュエーションや状況が考えられます。そのため、できるだけどんな場であるか、状況であるかを明示することが成功のカギを握るように思います。そのシチュエーションの具体化は実に様々で、成程と納得する句もあれば、残念な句もありました。では予選からスタートします。

□宗匠選と講評
(予選)
1.秋灯下いろはにほへとちりぬるを コタロー→いろは歌は必ずしも付きませんし、季語が動きます。
2.秋灯下独り楽しむ詰将棋  コタロー→この句も季語が動きますし、秋にぴったりとも言えないと思います。
3.秋ともし慣れし独り居酒すすむ  郁文  →もう一歩です。
4.秋の燈の消えぬ山小屋朝支度  郁文  →「山小屋」は夏の季語です。
5.秋の灯や遠く離れし父母のこと   みぃすてぃ→この表現はすでに手垢の付いた表現かと。
6.秋灯下その夜のジャズはかろやかに みぃすてぃ→まずまずです。
7.珈琲と推理小説秋ともし  詩雨  →これも手垢の付いた表現です。
8.秋灯の一つ伴侶と囲みをり  ゆき  →もう一歩です。
9.秋の灯や急ぐ祇園へ旦那衆  膝痛  →季語が動きます。 
10.秋燈火景色眺めつ5・7・5     膝痛  →これも季語が動きます。
11.秋の灯や淡谷のり子を夫婦して  瞳人  →「秋の灯や淡谷のり子の歌妻と」淡谷のり子だけでは無理があります。
12.秋ともし待合室の長いすに    しーしー→もう一歩踏み込んでください。
13.それぞれに燈火の秋をスマホでね しーしー→季語が動きますし、そもそも無理な表現です。
14.秋灯が全ての窓に学舎ビル    しーしー→「学び舎の窓のすべてが秋灯す」
15.秋ともし山里さらに寂れさせ   鈍愚狸 →捻りがないように思います。
16.山里の寂しき間秋ともし     鈍愚狸 →中七が疑問でした。
17.秋灯のひとつ明かりの日暮かな  ゆき  →「秋灯のひとつが急かす日暮かな」
18.秋の灯や文庫本読む嬉しけり   川口あおい→「読む」は不要であり、下五が言い過ぎです。
19.秋の灯を縫つて江ノ電すれちがふ 俳徊人 →「江ノ電行く町の秋の灯縫うように」
20.書き写す般若心経秋ともし    俳徊人 →類句がありそうな句です。
21.雑念を払う写経や秋ともし    さかえ →これも類句がありそうな句です。
22.能面の眼諭すや秋ともし     さかえ →「諭す」がイマイチでした。
23.待ちわびて猫は寝ており秋の灯よ かくた まき→季語が動きます。
24.岩壁へ秋の灯りや磨崖仏     山葡萄 →詰め込み過ぎで目が散ります。
25.君に似る観音仏秋ともし     山葡萄 →作者はどこにいるのでしょうか?
26.認知症予防右脳訓練秋灯下    荒 一葉→まずまずです。
27.子の置いて行きしパトカー秋灯  オンブレ→少し季語が動きます。
28.たれかゐむ電話ボックス秋灯   オンブレ→秋灯に付かないと思いました。
29.秋の灯の母の実家はあの辺り   凡愚痴歌→まずまずです。
30.妻逝きし秋灯のもとアンパンマン 川端  →NHK連続TV小説を見ていない人には分からないかと。
31.マンションの窓の秋燈百の彩   萌    →下五がもう一歩です。「マンションの窓の秋灯濃く薄く」 
32.しのび音のギターもれ来る秋ともし 萌   →「しのび泣くギターの音色秋ともし」
33.秋の灯やセピア色した古書の市  光雲2  →悪くないくですが・・。 
34.秋ともし読書誘ふ夢一夜     光雲2  →矛盾していませんか?読書と夢? 
35.秋灯下読書に疲れ目を閉じる   穣一  →散文です。
36.秋灯や体揺らせしジャズライブ  風神  →季語が動きますし、ちょっと付かないかと。
37.秋燈の漏れる大窓ピアノの音   6105→「秋燈の大き窓よりピアノの音」
38.秋燈に学び数多の歳時記か    6105→「歳時記に見知らぬ言葉秋灯し」
39.秋の灯やからくり時計遅れ鳴る  みさ  →「秋の灯やからくり時計やや遅れ」
40.秋灯ひとつ明うして檜の湯    みさ  →盛り込みすぎです。
41.秋ともし信玄公の隠し湯に    みさ  →「信玄の隠し湯ゆらぎ秋ともし」
42.秋ともしお伽話に子の寝たる   桉音  →下五が言い過ぎです。「秋ともし御伽話の母の声」
43.秋の灯や冊子に匂ふ旧漢字    桉音  →「匂ふ」が疑問でした。「秋の灯や冊子にしかと旧漢字」
44.地球儀の戦火なぞりし秋ともし  せつこ →「戦ある地球儀なぞり秋ともし」
45.秋の灯や寄木細工の小物入れ   ひろ志 →季語が動きます。
46.秋の灯や手の甲母とくっつけて  リタイア→季語に付かないと思います。
47.秋の灯や膝の二匹の猫温い    リタイア→下五は「猫温く」とすべきです。

(入選)
1.燈火親しむ硬筆文字を書き連ね  コタロー→秋の夜

2.秋燈や家計簿眺む妻に皺  郁文  →秋の夜だからこそじっくり眺めて皺に気付いたのかと思います。
3.秋の燈やゆかしき夜の山手線  みぃすてぃ→山手線に乗っていてゆかしさを感じたという発見があります。
4.在りし日のアルバム開く秋灯下  詩雨  →故人を偲ぶ時間が秋燈に似合います。
5.秋の灯は醜女も美人になりにけり 膝痛  →俳諧味があります。春宵は会う人皆美しきですが、秋は醜女さえも・・。 
6.深夜二時隣家の窓も秋灯     杏だんて→ふと目覚めたのでしょうか。
7.秋ともし賢治の童話読み終えて  杏だんて→朴訥な文章が合います。
8.鍵盤の連彈清し秋灯下      さかえ →秋灯火の視覚にピアノの音の聴覚の取り合わせです。
9.秋の灯や勉強の子の影を見る   古人  →窓越しに見える影でしょうか?
10.諳んじる名句の数や秋ともし   ののはな→秋灯の下では思わず名句が出てくるのでしょう。
11.秋ともし義父の遺品の写経かな  ののはな→いささか付き過ぎの感はありますが、良いでしょう。
12.日の暮れやスターハウスの秋ともし 山葡萄→スターハウスはかつては憧れであった公営住宅ですね。
13.寂聴の源氏「明石」へ秋ともし  荒 一葉→「明石」は源氏の人生の秋でもありました。
14.来し方を語り酌み合ふ秋ともし  荒 一葉→まずます無難な句と言えます。
15.戦争のニュースを消しぬ秋灯   オンブレ→聞き逃してはならないものの、秋の夜は静かに考えたいのでしょう。
16.秋の灯や五右衛門風呂にゆであがる 凡愚痴歌→郷愁を感じさせる五右衛門風呂です。
17.秋灯を点す一舟闇の海      川端  →船の灯で秋灯の句は珍しいと思いました。
18.もの憂げにゆらぐ秋灯過疎の村  川端  →寂しげな灯の下に心暖かな人々がいるはずです。
19.秋の灯や古文はなべて漫画へと  萌    →今はもう古文も漫画で語られているようですね。
20.秋ともし誰が爪弾くや八雲琴   光雲2  →二弦の八雲琴を出しました。物珍しさに惹かれました。
21.秋灯の母屋の母は百近し     穣一  →高齢の母の行く先を思っている句です。季語が生きています。
22.秋灯の無人駅舎に終列車     穣一  →むしろ冬に合う景かとも思いました。
23.レコードの掠れし音や秋灯し   風神  →少し波打ちながら回るターンテーブルが見えます。
24.秋灯や射的冷やかす温泉場    風神  →秋の温泉街のそぞろ歩きの句です。
25.秋燈や読書と酒の夜過ぎる    6105→季語は動きませんが、内容はいささか平板でした。
26.秋燈や日記のペンの細き影    桉音  →くっきりした景を感じさせる句であり秋灯に合うと思いました。
27.秋の灯や思い出の布裂き紡ぐ   せつこ →思い出を引き継ぐためのリサイクルでしょうか。
28.自転車に油差す土間秋ともし   せつこ →土間が生きている句です。
29.秋灯下ペン胼胝ひそと笑みてをり 瞳人  →近頃はペンで文字を書くことが減りペンだこが痩せるばかりです。
30.秋灯や手を当てて聴く脈の音   ひろ志 →秋灯の句としてはミクロの、内省的な句であると思いました。
31.秋灯し消して真闇の中にゐる   ひろ志 →秋灯を消した句はこれだけであったかと思います。
32.秋の灯や寂しさ誘う雨の音    リタイア→秋灯と雨は間違いなく付く取り合わせではあります。

(秀逸)

1.能面のまなこ翳らせ秋灯下  ゆき  
  →能面は角度によって、また見る人の心理状態によって笑っているようにも泣いているようにも見えます。秋の夜の灯りの下の能面の眼に作者はどんな翳を見たのでしょうか。それは読者の想像に任せる。そこに俳句の深さがあります。

2.内職の燈火親しき母の指     俳徊人 
  →秋灯火の下で内職するという図は一般的ですし、これまで多くの俳人が詠んできました。しかしこの句はその内職の母の指に着目しています。秋灯下の部屋全体から指に視点を集中させることで、母親への労りや思いやりまで詠みこみました。

3.ミシン踏む音の響きや秋ともし  ののはな
  →適度に良質で丈夫な衣料品が安く買える時代になって、袖を出す、裾を詰める、穴を補修する等、ミシンを使っての縫製をする姿がめっきり減りまっした。この句はそんなかつての家庭の中での日常を蘇らせています。そんなノスタルジーを感じさせて秋の句です。

4.秋の灯や君の唇もどかしげ    凡愚痴歌
  →この唇が春の灯の下であれば、艶やかで華やかな雰囲気を醸すと思われますが、秋の灯の下でもどかしげな唇は何を物語るのでしょうか?いささか謎めいていて、儚ささえも感じさせるこのもの言いに惹かれて選ばせていただきました。

5.秋ともし修司の遺稿なぞる指   太朗  
  →没後32年の寺山修司は様々な遺稿があります。そんな遺稿を秋の夜長の灯の下で読みながら指でなぞっているという句です。戦後の文化の革新期を走り抜けた修司の影を追うようなその仕草は秋灯にピタリと付くと思いました。


以上で84句の講評を終えます。
新たな兼題はまた後程、
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